弓道における会のコツ
弓道における会のコツは、弦を胸にあて矢を頬にあてるという点にあります。
会は、弓を放つ最終段階ともいえます。会では両肩は矢と平行にし、できるだけ矢に近づけることが重要になります。
自分に適した矢を引く長さまで引くことは「詰合い」ともいい、弦を胸にあて矢は頬につけます。
両肩が入ると右ひじが締まり、矢の向きと力の方向が一致して押し手や矢のブレが少なくなります。このような理想的な射形が取れれば的中率は飛躍的に高くなります。
射の基本形として定められる「五重十文字」をイメージすることが重要です。
①弓と矢の十文字(矢番え十文字)、②弽の親指と弦の十文字(取懸け十文字)、③弓と押し手の手の内の十文字(手の内十文字)、④胸の中筋と両肩の線を結ぶ十文字(縦横十文字)、⑤首筋と矢の十文字(会の十文字)は、ほぼ直角の十字の形態をなしています。会では特に④と⑤を意識することが重要です。
弓道における会の2つのポイント
弓道における会の2つのポイント
弓道における会には①胸弦と頬付けを一定にする、②80%の力で弓を引く、という2つのポイントがあります。
胸弦と頬付けを一定にする
弦は必ず胸につけるようにします。そうすることで常に一定のフォームで弓を引くことができます。
胸弦を中心に天地左右に伸び合い、頬付けも常に同じ位置になるように注意します。
頬付けは上唇と下唇の境目の延長線上にある「口割」といわれる位置が目安です。
80%の力で弓を引く
目線は的を狙いつつ、両手を左右に開く伸び合いをして集中します。
力の使い方は80%が目安です。100%や120%の力を使っては精度が落ちます。
手の内は肩からの力を受けるだけで、方と肘、手首など全体の関節で押します。
気持ちと力の流れは、あくまでも引分けの延長と考え、会で止まらないことが重要なポイントとなります。
弓道における会を保つ方法
弓道におて会を保つことが出来ず、会に入ったか入らないかの時に、間をおかず離してしまうてしまうことを早気といいます。
会を保つことが出来ず離してしまう早気は、たとえ中ったとしても「正射必中」の原点に立ち返ると矯正の対象となります。
初心のうちは体の各所の伸び合いや気力の充実を待たずに「中てたい」などの衝動的な感情が引き金となって会を保つことが出来ず離してしまいます。
しかし、年齢を問わず射法八節などの法則に従って体を十分に働かせるためには、それぞれの動作とその確認に一定以上の時間が必要となります。
必要な時間の長さは人によりさまざまです。本人は十分な時間が経過して離したつもりでも、実際には必要な時間の半分以下の時間で体の各所の伸び合いや気力の充実を待たずに離している場合があります。
このように時間の感覚のずれが会を保つことが出来ず離してしまう早気の解決を困難にしている可能性があります。
この場合の矯正法としては、「正射必中」の原点に立ち戻ること、また、若い人は時間の感じ方が長く感じられる傾向があることを理解し、会においては、左右の伸び合いと胸の伸び合い(例えば①右ひじ、②右肩、③左肩、④左手のうち、⑤胸などの要所の伸び合い)を順番に確認し、その作業が確認するまで離さない、その結果当たらないとしても潔くあきらめることを心掛けてけいこするとよいでしょう。
また、会を保つことが出来ず離してしまう早気の人は往々にして離れの後の残心(身)の時間も短い傾向にありるので、残心(身)の時間を十分にとる(例えば5秒以上と決める)ことを意識する必要があります。
加えて、会が保てるまでは、弓力の弱い弓を稽古に使用するなど、根気よく取り組むことが重要です。