弓道における会とは
会とは、自分の矢束を引き、狙い、胸弦、頬付けが行われた状態をいいます。
会に至る前の諸段階は、この会に到達するために行ってきたものです。
心・体・弓が一体となって、気迫をたたえ、天地左右に伸び合い、発射の機会を熟させる、まさに弓射の極致です。
会は、引分けの完結系ではなく、無限に引き分けている状態といえます、即ち、力の流れ、気力の流れを妨げることなく天地左右に伸びている状態といえます。
会は、詰合いと伸合いで構成されます。
詰合いは、縦横十文字の基本体型を崩さずに、矢束一杯に引くことです。
伸合いは、矢束を引き延ばすことではなく、気力の充実をもたらし離れに必要な気合の発動の力になります。
目使いは場の掌握であり、自己の心を見つめる呼吸や姿勢に大きな影響を持っています。
狙いは、左の目尻、右の目頭を用い、左拳と弓の左側、的の中心を見通し定めます。
会における注意点
①肘の位置
肘の位置が高い人、体の中心より前にある人、後ろにある人は、不安定なバランスのため、必要以上に力を使ってしまうので注意する必要があります。
②関節全体で押す
会での手の内は直角、即ち、十文字に受けるだけで、力を加えるのは肩から手首までです。
肩、肘、手首のそれぞれの関節全体で押す(開く)ことが重要です。
手の内の親指、手首を振って手先の動きにならないように注意しましょう。
会におけるポイント
①五重十文字を意識する
会では、射の基本形として定められている五か所の十文字、即ち、五重十文字を意識することが重要です。
それぞれがほぼ直角に十文字の形態をなしている必要があります。
※五重十文字
・弓と矢の十文字/胴造り時(矢番え)
・弽と親指と弦/胴造り時(取懸け)
・弓と押手の手の内/胴造り時(手の内を定めるとき)
・胸の中節と両肩の線(縦横十文字)/引分けの時
・首筋と矢(会の十文字)/会の時
②80%の力で引く
会の力の使い方は、八分目(80%)を目安に引き分けます。
強い力で引けばよいというものではありません。
十分(100%)、十二分(120%)の力を使うと余計な力が入り射形を崩す原因となります。
五分(5%)以上離れの力を残しておくのが理想です。
③胸弦と頬付けを一定にする
会の小さな人は、中り重視の人が多い。
楽して手先の離れで中てようという思いが強いからです。
大きく引く場合には、自己の矢束を引く、頬付けは鼻と口の間の一定の場所(無理に口割まで下げなくてよい)、胸弦は一定の場所にします。
これらは天地左右に伸び合うために必要です。
弓道における会・的の狙いとは
大三から会にかけての狙いの定め方のイメージ
1.狙いは28メートル先の的を自分に引き付けるイメージで定めます。
右目を主眼とした場合の的への習いの定め方は、的は大三の際には左肘の上の際付近にあり、そこから引分けの過程において前腕の外側の縁沿いに転がすように移動させます(実際には左腕の位置が下がっている)。
次に、引分け終盤の鼻つけ当たりで左拳に接したのち、会では弓を握る左拳の上方、弓の藤頭あたりの左外側に左半分が見える(半月)要領がよいとされます。
ただし、弓の状態や骨格などの関係もあるので、会での見え方が満月や闇の場合もあります。
2.的への狙いの定め方の種類
的への習いの定め方の方法には3種類あります。
満月、半月、闇の3種類です。
このうち、満月は、弓の左側に的が全部見える状態のことをいいます。
また、半月は、的が半分見える状態をいいます。
そして、闇とは、弓の中に的が隠れている状態をいいます。
見える状態としては、半月が正しい狙いといわれることもありますが、個人差があるので、必ずしも正しい狙いが半月に見えるとは限りません。
指導者に見てもらい、正しい狙いをしているときの見え方が、その人にとっての正しい見え方になります。
3.主眼の確認
右目が主眼であるか否かは、まず、道場内において両目で目標となる安土側の的などを見定めます。
次に、左目を閉じで右目だけを開きます。
この時に的が隠れていれば右目が主眼だと確認できます。
そうでない場合には、左目が主眼だということになります。
左目が主眼の場合には、指導者の教えに従い、右目が主眼になるように置き換え作業を行います。